Wine Column

「テロワール」 著者・ジェームス・ウイルソン氏

ヴィノテーク社からフランスのテロワールについてアメリカ人によって書かれた地質学の本が出版された。やや高額の本ながらワイン好き特にテロワール好きの方には見逃せない本である。

氏は1915年にテキサスで生まれ、大学を卒業後 シェル石油に入社。
1942年から44年までは徴兵されてノルマンディー上陸に参加、1945年に退役してシェル石油に戻り、1960年に若くして副社長となったワイン愛好家の地質学者である。

ちなみにあるイギリス人は戦前に横浜に在住、戦後シェル石油の社長となって来日。戦前に吉田橋のたもとで運送屋をしていた上野氏が引越しの仕事をよくやってくれたので、再度 来日した際に日本の石油の運送をすべて彼に託した。

後に横浜商工会議所の会頭を務めた上野氏の子息がワイン輸入業をはじめたのが、現在のラック・コーポレーションの前身である。

印象に残った一部の文章を掲載させて頂くと。

第3章 アルザス・ワインウイルソン氏とツイント・フンブレヒトのセラーでレオナール・フンブレヒト氏と息子のオリヴィエ・フンブレヒト氏(フランスで初めてのマスター・オブ・ワイン)とで試飲する場面がある。

レオナールは土壌の異なる3種類のリースリング種を出してウイルソン氏に地質がワインの個性を作る事を再認識させている。1983年11月にジョニー・ヒューゲル氏からの手紙ではなぜ同社ではグラン・クリュの表記をしないかを明確に述べている。

当時はグラン・クリュをを名乗る資格のある畑がすべて申請をした訳ではない事がよく分かる。またアルフォンス・ドーテ氏の著名な物語「最後の授業」についての記述もある。

1870年の晋仏戦争が舞台でドイツ語以外を学校で教えて為らないとの条例が出されアメル校長は黒板にフランス語で万歳と書いて生徒の方を振り返らずに授業のおわりを宣した。
しかし皮肉なことにドイツ占領下の直後 フィロキセラの猛威がアルザスを襲った。


第4章 ブルゴーニュ・ワイン「ヴァロワ王朝はブルゴーニュの歴史の中で最も長く続いたような印象を与えるが、皮肉なことにそうではない。

フィリップ6世はブルゴーニュが豊かな土地だが、海が無いので港があり製造業が盛んな北海沿岸の低地にある国々を領土に加えることは自国に大きな利益をもたらすと考えた。

フランドル公爵の娘と結婚してそれらの領土を手に入れた、オスピス・ド・ボーヌの競売会などにフランドルの文化的な影響がもたらされた。」そうか だからボーヌの町にはフランドルの影響が垣間見れるのか。「地質学的な見地から見ると、土壌は非常に小さな面積の中で明確な重要な差異が生じている。モレ・サン・ドニの卓越した生産者ジャン・マリー・ポンソ氏の娘さん カトリーヌ・ポンソ嬢がディジョン大学の地質学者で地質調査に協力してくれた。」

なるほどね、畑をいくら眺めても小さな差異は分からず、地中に秘密があったのだ。

第9章 キンメリジャンの連なりパリの南に連なるキンメリジャン土壌の地図はとっても興味深いものでした。ロワールのカンシー辺りから始まってサンセールを通り、オーセロワ・シャブリを通って、シャンパーニュのオーブまで地中でつながっている。

まさにキンメリジャン土壌を巡る旅をしたくなるというものだ。ヒュー・ジョンソン氏も巻頭でウイルソン氏のことを「ワイングラスを持った地質学者」と評している。

ご興味のある方はぜひヴィノテークにお問い合わせください。
電話番号03(3509)1071

(2010年5月31日更新)


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