「ワインの数値化」

人間は弱い存在なのですべてを数値化して絶対的なものを知りたいと考える。しかし人類の歴史ではこれらは結局悲劇で終わる事が多いようだ。

経済的な事件で言えばエンロン事件やつい最近のサブプライム・ローンの問題など数学者が関わってろくな事はない、と言っていたらこんな本が出版された。イアン・エアーズ著「その数字が戦略を決める」

本の冒頭に出てくる言葉が「ワインの値段を方程式で予測する男」とある。
プリンストン大学の経済学者が昼の本業であるオーリー・アッシェンフェルタール氏はある生産年のどんな特徴が、ワイン競売価格の高低と相関しているかを見て方程式にまでした。

ワインの質 =
12,145+0,00117 × 冬の降雨 + 0,0614 × 育成期平均気温 - 0,00386 × 収穫期降雨

ロバート・パーカー氏は彼の意見に否定的で「映画そのもを観ずに、役者や監督を基にして映画の善し悪しを語ろうとする映画評論家みたいなもの」と評している。
春のバレル試飲よりも何ヶ月も前にこの数式でワインの価値が分かり、ワインの将来価格デルバティブが活発に取引されている世界では役に立つ。

つい最近、当社ではこんな経験をした、それはある格付けシャトーの88年の特別価格が案内されてきたことに始まった。
すでに当社ではそれと同じ商品がリストに掲載されており、その価格は特別価格よりかなり高かった。なぜなら2年ほど前にボルドーのデキャーブ社から輸入された商品で、私ども彼らのセラーの商品に絶大な信頼を寄せていた。今までデキャーブ社からのボルドー古酒で一度もクレームを受けた事がなかった。

それでもその特別価格はかなり魅力的な価格で無視するには惜しかった。そこで当社の出した結論はそれぞれを同時に抜栓して、飲み比べてみようと言うことだった。その結果は

A特別価格の88年
 確かに価格的には魅力あるが、味わいの点では胸躍るものがない。
 古酒としての存在価値は十分にあるが、絶対のおすすめとは言えない。

Bデキャーブ社の88年
 まさにボルドー古酒の典型と言える香りと味わいを備えており、
 確かに価格は高いが十分にその価値あり。

との判断だった。
そこで当社は少量特別価格の88年を販売し、従来の商品と併売(価格が異なったまま)する事にした。

ちなみにロバート・パーカー氏のそのヴィンテージ評価は89点であった。
これらのようにワインの評価は古酒になればなるほど難しい。

確かにワインの数値評価が難しいのは、すべての人間を数値化して評価するのが難しいのと同じだ。つまりもともと厳密に言えば1本、1本異なり、さらに時間が経過すればするほど差異は大きくなると思われる。

(2009年8月27日更新)


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