「アルザス・ワインはモザイク模様」

9月末に初めてアルザス地方を訪ねて、優れた生産者達とお会いできました。
3日間に渡り7社の造り手達とお話し試飲することも出来ました。
以下 お会いした順に印象をまとめました。

Marc Kreydenweiss (マルク クレイデンヴァイス)
ビオディナミの造り手として知られる中規模の生産者はコルマールの北にあるアンドローの村にある。
次男が試飲と説明、畑まで連れて行ってくれました。

クリット・ピノ・ブランはバランスよい味わいを持つお買い得。実際はピノ・ブラン種とピノ・オーセロワ種 50%づつの混醸だそうである。今回わかったことであるがほとんどの造り手で上記2種を混醸してピノ・ブランを造っていた。
かなりの急斜面にリースリング種を植えたヴィーベルベルグとカステルベルグのグラン・クリュの畑があった。
ヴィーベルスベルグは比較的に早く楽しめ上品な味わい、カステルベルグは力強く飲み頃に時間がかかる。
ストラスブールの三ツ星レストラン「ブリーゼル」で飲んだカステルベルグ99年は素晴らしかった。


マルクはピノ・ノワール種赤はあきらめて南仏のコスティエール・ド・ニームで赤ワインを造り始めている。
このワインは今後に期待したい、いずれにしてもマルクのワインに対する情熱がここの支えである。

Trimbach (トリンバック)
リボーヴィレにある大きな造り手はユベール・トリンバック社長が自ら迎えてくれた。
アルザスではよくあることだが兄弟一族で家族企業として経営している、ルーツはドイツかと思っていたがスイスにトリンバックと言う村があり何代か前に移住してきたそうである。
 
ユベールに以前聞いたことがあるが実に長い歴史の中でアルザスはドイツ領とフランス領を何度も行き来してきた。畑の名前もほとんどドイツ名である。

トリンバック社は食事に合う辛口ワインがモットーでその象徴とも言えるのが「クロ・サント・ユンヌ」である。
実にミネラル感と若干の石油香を持つしっかりとした辛口で飲み頃までには時間を要する。

畑はトリンバック社からはちょっと離れたなだらかなやや大きめの斜面にあった。

ヒューゲル社とともにグラン・クリュ呼称には反対でラベルには一切グラン・クリュを名乗らない。
ユベールに言わすとあまりに政治的にグラン・クリュが増えすぎたことが原因だそうである。

Marc Tempe (マルク テンペ)
リボーヴィレの隣村ツェーレンベルグにある小さな生産者。自然派で知られる造り手夫妻には強い印象を受けた。旦那のマルクはプロレスラーかと思えるほど大柄でいかついが、笑うと実に愛嬌があって魅力がある。
奥さんは髪の毛を後ろに束ねていたが実に長くお尻まで垂れていた。また 飼っている犬が実にでかく、寝ているとブタが横たわっているようで日本では見た事がない犬種であった。

ジャン・ミッシェル・ダイス氏より早くビオディナミでぶどうを栽培し、近辺にある優れたいくつかの畑で様々なワインを少量づつ造っている。彼に言わすとワイン造りだけでなく、生活もすべて自然でなければと考えているそうである。

Weinbach (ヴァインバック)
カイザーベルグにある著名なグラン・クリュ畑シュロスベルグの麓にある元修道院が醸造所。
ご高齢のお母さんコレット夫人、運営担当の長女カトリーヌ、栽培・醸造担当の次女ローランスいずれもややお年を召しているが美人である女性3人で経営する。

27haの畑を所有し、斜面にあるシュロスベルグ、フルシュテンタム、マンブールの3っのグラン・クリュ畑と麓にある元修道院の周りにあるクロ・デ・キャプサンの畑が中心である。

我々が訪問している間も彼女らの人柄か、ひっきりなしに様々な人々が訪ねてきていた。
忙しいのに醸造所の奥にあるダイニング・ルームで自らお料理をしてランチをご馳走してくれた。
そのお料理の美味しかったこと、本当にカトリーヌありがとう!

コレット夫人も言っていたが完全主義者である次女ローレンスの造るワインは素晴らしく、ワイン雑誌などで高い評価を得ているのもうなづける。

Malcel Deiss (マルセル ダイス)
ベルグハイム村の著名な造り手ジャン・ミッシェル・ダイス氏とはあまりゆっくりとお話し出来なかったが、のっけから彼のワイン哲学が披露された。思わず話しに引き込まれるカリスマ性がある。

「ぶどうは土中からテロワールの味わいを表現するだけであまり意味が無い」
「従って単一種のぶどうには意味がなく、混植してあってもテロワールが素晴らしかったらグラン・クリュにすべきである」 実際に03年INAOは初めて混植されていたアルテンブールを彼の主張を認めてグラン・クリュとした。最も彼の思い入れが強い畑は醸造所の目の前にあった。


ベルグハイム村近辺では秋の午前中 霧があたりを覆い交通止めにある事が多いそうである。
従って ボトリチス菌が自然に多く見られる。アルザスではこの貴腐菌が鍵を握っていて、地域・気候によって貴腐菌が味に複雑さや甘みを加えている。

Zind Humbrecht (ツイント フンブレヒト)
トゥルクハイム村にある醸造所は大きく近代的なデザインを持つカリフォルニアのワイナリーのようである。
家族の歴史は1620年まで遡れるがワイン造りは1959年からでレオナルド・フンブレヒト氏はまさに立志伝中の人物である。

収穫時期でもあり何とオーナーの70歳になるレオナルド氏自らが試飲をしながら説明してくれた。
自信に満ち威風堂々としたレオナルド氏は優しさの中に何かカリスマ性を感じさせる人物であった。
もちろん ジャン・ミッシェル・ダイス氏とは異なったカリスマ性である。


彼の説明は様々な村に所 有する畑にはの土壌の違い、様々な気候、畑の向きがあること。それに適したワイン造りをしている事であった。近年ラベルにはアンディス・ナンバー(指標)を入れて辛口の1から甘口の5まで記載したそうである、これは官能的に甘・辛を消費者にわかりやすくするためである。

Schlumberger (シュルンベルジェ)
コルマールの南 ゲヴィーラーにある大きな醸造所。当主が留守の為 娘さんのセヴリーヌさんが愛犬とともに目の前のグラン・クリュ畑キッテルレの急斜面まで車を運転してくれた。細い上り坂の怖い事、一歩間違えれば斜面の下に転落である。畑の頂上から見下ろす景色は実に見事であった。

また畑の麓には耕作用の馬が4匹飼われていて、その馬小屋の立派なことには驚いた。
やはり斜面ではトラクターの使用は無理で、馬を使って耕すとの事。ただし馬も小さい時から斜面に慣れさせないと怖がって登らないとのことであった。

お判りのようにボージュ山脈がほぼ南北にあり、その東側の村ごとに造り手が点在している。当然のことながらグラン・クリュ畑は山に入りこんだ南斜面にある。
さらに様々な土壌がモザイクのようにあるために適したぶどう品種も多くなる。さらに貴腐菌のつき具合によって辛口から遅摘みの甘口まで味わいが分布する。そしてその年の気候の影響も大きいと言った複雑さがある。

また上記の記載の造り手は1998年くらいからほとんどぶどう栽培をビオディナミに転換している。
でも実に魅力的な白ワインが多く、アンチ・シャルドネ種ファンには欠かせないワインが沢山ある。
(2006年10月2日更新)


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